心に響く
村岡花子さんの「をみななれば」を友人から借りました。
女性の生き方を、戦前の人でありながら、しっかりした視点でとらえてあって 今の時代にも、通用する言葉ばかりでした。 今だからこそ、テレビでも取り上げられてブームになったのかもしれない。 もっと早くたくさんの人に知られたらよかったのにと思います。 少女の頃夢中で読んだアンの世界を、お花さんとアンの世界でパラレルに体験。 本を丸ごと紹介したいくらいだけれど、いくつか、ここに記して記憶しておこう。 ※ 雛人形に表される封建制への反逆を感じていた。 「けれども、 毎年雛祭りが巡って来て、ひな壇が飾られると 秩序正しい生活の美しさを思う。最も重い責任を負うものは最高の段に。 それを助けるさまざまの人々は追わされている責任の種類によって、それぞれの場所につき そして全体がひとつの調和を作りだして、美しい形が出来上がる。 政治的権利も社会的権利も、義務も平等っでいいけれども、 国民の一人一人が皆同じ能力で、同じ健康さではない。 そのほかいろいろと個人的にちがっているから、それぞれの力に応じた仕事しかできない。 みんなが自分の仕事を責任と思い、その場所を守っていくところに民主的な喜びがある。 ※ 「イン・メモリアル」テニスン 「過去のうれしさを わたしにこんなに大きく見せるのは それは悲しみの霧なのか 今の侘しい身の上が 過去を浮き彫りにしてみせるのか 一体過去というものは遠く離れているために 後光が射すように思えるのか。 昔はそうでもなかったが まん丸な太陽のように見えて来る」 この詩を和歌と対比させている。 「ながらえばまたこの頃やしのばれん 憂しと見し世ぞ今は恋しき」 (和歌にすると短く的確で、詩が冗漫に思われるほどです) ※ わたしたちは何を捨て、何を守ろうかということについて 聡明な判断をしなければならない。 『過去のことを全く考えず、ただ、現在だけを知り、それで自分たちが新人だとうぬぼれている 連中がかなり見受けられる。そういう人たちは新しいのではなくて、野蛮人である―トルストイ」 ※「矢と歌」ロングフェロー 「われ大空に向かひて矢を射たり そのいづくなるは知らざれど 大地の一角に落ちゆくを見たり そは速力早く一瞬にして視界より 消え失せたれば その行方を追ふべくもあらず 我大空に向かひて我が心の歌を送れり そのいづくなるは知らざれど 大地の一角に流れゆくを見たり そは美妙なるひびきの消えてゆくを つばさなきものの そのゆくえをしるべくもあらず かくて長き年月は夢と流れぬ 我、森をさまよえば樫の大木の根に わがかつて射し失われたる矢の 未だをれずして立てるを見たり かくて又わが失はれたる歌は 初めより終わりまで一句も残らず わが友の心の扉に刻まれたるを」 ※ 「神はその独り子を賜うほどに世を愛したまえり」 聖書の中には、呑み込めないことや不思議なことがいっぱいなのです。 自分が最愛の子を失った時初めて、「ひとりごを与えても惜しまない」愛と言うもののいかに深いものであるということの意味が、実感として迫って来た。 自分の祈りが聞かれなかったところに、神の意志の働きがあるのでは。 六つの子どもには六年のいのちが宿り、六年の喜びがあり、六年の幸福をわたしたちに与えた。 その六年の生存を抹殺することはできない。 服従しよう、反逆ではなく、服従の平安の中に、与えられた短い喜びを長く生かしていこうという決意に達した時から、わたしの新しい年が始まった… (この言葉は、ギルバートが危篤になったときや、アンが自分の子を失ったとき、そのほかにもいろいろなエピソードの中に、村岡さんの気持ちがにじみ出していると思いました。 わたし自身はクリスチャンではないけれど、初めて、信仰を持った友人の気持ちに近づけた気がします。つまり、ほんとうは、大事なことは安易な言葉では説明などできないのです。 言葉より体験なのです) ※ 詩人のエミリ・ディキンスン ※ ワーズワース「ルウシィ」 彼女は人足の途絶えた 鳩の泉のほとりに住んでいた ほめたたえてくれる人はひとりもなく ごくわずかな人々だけに愛された乙女だった 苔むした石の脇の一りんのすみれ なかば姿は隠れて咲いていた 星のように美しいけれどもそれはたったひとつが 空に輝いているそのときの美しさだった。 ※子どもがお話をせがむのは、お母さんの話術を求めているのではなく 母とふれあうことから生まれる安らかな幸福感を味わいたいから。 ※終戦後、外地で処刑された人々――ほとんどが庶民で、戦争さえなかったならば、 平凡な日常生活のうちに天寿を全うしたであろう人々。 積極的に「戦犯者」と呼ばれる行為をする意志など持ち合わせていない平凡なる庶民を駆り立てて 犯罪者の汚名を身に帯びるに至らしめた戦争は呪うべきものである。 ※親切をするときにも日本人のはにかみがある 結局ははにかみに打ち勝つだけの「いたわり」が他人に対してあるかないか。 ※多忙であることはその人の重要性を物語るかもしれないけれど、同時にまたその人の 非協力性と冷淡さを語っている場合もある。 時に圧迫されるのでなく、時を使っていくべきである。 ※人生は進歩。 今日は昨日よりもよく、明日は今日よりもよく絶えず前進していくのが真実の生き方。 若いときは準備の時代。その準備の種類によって次の中年時代、老年時代が作られていく。 最上のものは過去にあるのではなく将来にあります。 「我とともに老いよ。 最上のものはなお後に来る」ブラウニング ※書物はわたしたちの友である。我がゆく道を照らす灯である。 ※ 楽しい日の「心覚え」にささやかな品を求めて身につける。 しあわせよ、かえっておいで よろこびよ生き返って 元気に跳ねておどってごらん ※ 心がちぢに乱れ、思い余った末、人間から慰めを得ようとする代わりに 天地自然の中に溶け込み、その中に憩いを見出すことができる生活の習慣を、 わたしは自分の娘のために求める。 「人間を愛さないのではないが、自然をなほいっそう愛する」バイロン 今朝、散歩のときに撮った近所の朝顔。 今朝は空が金色だった。 そこを飛ぶ白い鳥も、まぶしく輝いていた。 国造りのとき、神話の人々が見た鳥もかくやと思うような。 でもゴールデンアワーはまたたく間に過ぎ去り 空は灰色に沈みました。
by f-azumi
| 2014-08-23 06:00
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四匹の猫と暮らしのこと
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