タオと猫の庭

楽園

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 青山の漢方のお医者さまの帰り、

 上野によりました。

 都美術館で開催中の「楽園としての芸術展」を観るために。




 鮮やかな色のあつまり。

 散らばったり集まったり流れたり飛び跳ねたり、お行儀よく並んだり。

「楽園」と言う言葉がぴったりの、

明るく楽しいきれいな色の海に包み込まれました。

 勢いと情熱で一気に描き上げるんだろうなと思っていたら

 制作ビデオのなかでは、

 わりと穏やかに、緩やかに、色をキャンバスに曳いていました。

 描いているのはダウン症の人たちです。

 アトリエの人たちが、そーっとそばで見守っています。

 さまざまな色のビンが並べてあって、その中の絵筆を使って色を塗っているのだけれど

 心の中から、色をそうっと静かに吐き出しているみたい。

 蚕が糸を吐き出すような

 静かで温かな行為です。

 気持ちがよくって、エンドレスのビデオに見入ってしまいました。

 会場で思いがけない人に出合いました。



 読売新聞の芥川さんのコラムに

「見終わった後、何とも言えない幸福感に包まれる」とありましたが

ほんとうでした。

「こうした人々が何人か地球に存在するのは

神さまの何かの意図だ」、というような意味のことも芥川さんは書いておられます。


アトリエの代表の佐々木さんとお話ができました。

「<ゆっくりなひとたち、無垢で純粋>

そんな言葉を使ってダウン症の人たちをあらわす人がいるけれど、

それは健常者と言われる人からの見方であって、

彼らにとってはそれが普通なんです。

ぼくらとは別の時間の中で生きているだけなんです」

今のこの社会に適応できない人のことを障害者と呼ぶことの理不尽さに思い至ります。

社会に適応できていたら、「意地悪」「不親切」「冷酷」であっても健常者ってこと?

そう言う人こそ、障害者なのではないの? と。

明るく踊るような色を見ていたら、わたし自身も失ったものを思いだしました。

他人に負けないように強くなれ、と思うこと自体が濁った色を心に作っていたのではないか。

競争心や他人と比較することのないたくさんの絵「心」の前で、

自分の心も「虫干し」できたような気分です。

「悲しみ」や「怒り」はこの絵の中にはないのですか?

と佐々木さんにお聞きしたら、

「そういうとき、彼らは描けません。

穏やかで解きはなれた状態を作ってあげたとき、彼らは描くんです」

だから、こんなに明るくてきれいで自由なんだな。



「楽園」は守られなくてはいけません。

 守らなくてはいけません。

 いつかだれでもがそこに還って行けるように。





 
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       久しぶりの都美術館でした。
       穏やかな光
       金木犀の香り。
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by f-azumi | 2014-10-01 08:45 | 暮らし
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