タオと猫の庭

向日葵

帰りの高速バスの中

思いだすと泣けてしまうので、

けんめいに言葉をひねりました。

気持ちを鎮めるのを短歌はたすけてくれました。

やったことがないので、出来はともかくとして

小説は長すぎるから、こういうとっさのときは、俳句か短歌ですね。




   <向日葵>


                  
病室に専門用語飛びかいぬ
      患う父は蜂窩織炎(ほうかしきえん)


声ひそめ介護チームが模索せし
      老いたる父の最終航路


ひと椀のアイスクリーム買いに出で
      『永訣の朝』の賢治に出逢う


食細りきつく閉じたる父の口
      甘くとろかすハーゲンダッツ


枕辺のセピアの写真遠き日の
      軍服の父詰襟の父


蒼き山燃ゆる向日葵白き雲
      微熱の父の顔紅(くれない)に


病葉(わくらば)も朽ち葉青葉も紅に染め
      朝陽が渡る雲のきざはし


山鳩の鳴き交わす声天を打ち
      延びたる道は山に溶け行き


再入院覚悟のほどを問われしに
      父を見やれば遠きまなざし


軽トラで訪ね来たりし父の友
      猫と暮らせし九十二歳


幾たびも取り直したるバス予約
      帰路に見えたる月十三夜


彷徨える羊のごとく駅に立つ
      友の着メロ我を見つける


休耕田母が蒔きたる向日葵の
     首をもたげて吠えるがごとく


向日葵と張りあうごとく空仰ぎ
     腕を伸ばして風をとらえる


向日葵は大地に生きた父の花
     夏に生まれて夏を生き抜く


影深く向日葵の熱地に溶けて
     暮れゆく空に光る明星

 

                    
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by f-azumi | 2015-07-31 21:25 | 暮らし | Trackback | Comments(2)
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Commented by 小林 at 2015-08-02 20:00 x
がんばってください
Commented by f-azumi at 2015-08-02 22:26
ありがとう。

向日葵から力をもらいました。
だいじょうぶ☆だいじょうぶ。
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